単純承認とは、相続人が被相続人のプラス財産もマイナス財産もすべて無限に相続することをいいます。
一般的に皆さんが考える相続の形がこの単純承認です。
単純承認になる場合
民法921条各号は以下の場合には単純承認とみなしますと規定しています。
その➀
相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。
例えば、相続財産の土地や車などを売却してしまった場合があげられます。また、債権の取り立ても処分にあたると判例はしています。
その➁
相続人が相続を知ったときから3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかった場合。
すなわち、相続を知ってから何もしないと単純承認になりますということです。
その➂
相続人が限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿したり、消費したり、悪意で相続財産の目録中に記載しなかったとき。
また、限定承認との兼ね合いで、民法937条では、次のように規定しています。
限定承認をした共同相続人の一部に上記のような(その➀~その➂)事由があるときでも、他の共同相続人は単純承認したものとはみなされない。
これは、例えば、相続債権者が、相続財産で返済を受けられなかった額について、上記事由がある人にだけ、相続分に応じて権利行使できるということです。
単純承認の効果
単純承認の効果としては、相続人は被相続人の権利義務を無限に承継します(民法920条)。
つまり、プラス財産もマイナス財産も、亡くなった方のすべての財産を相続するということです。
ですので、被相続人に借金がある場合などは、早めに調べて、相続放棄するのかどうかなどを決めなければなりません。
この期間は相続があることを知ってから3か月以内ですので、葬儀や各所への連絡、手続をしているとあっという間に過ぎてしまいます。
3か月を過ぎると、上記したように、単純承認となり、すべて相続しなければならなくなるので、十分注意しましょう。
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