限定承認

限定承認

限定承認とは、相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐという相続の方法です(民法922条)。

具体的活用方法

限定承認は、被相続人に借金はあるが、どのくらいあるか分からない場合で、プラスの財産が残るかもしれないという時に活用するものです。
この制度を使うと、被相続人からのプラスの財産の範囲内で借金を返済することになるので、相続人が自分の財産を出して返済することがなくなります。

しかし、この制度はほとんど活用されていません。

なぜなら、この制度は手続が非常に面倒ということがあげられます(具体的には下の項で説明します)。
こんなに面倒なら相続放棄をした方がいいと考える人がほとんどだからです。

限定承認の手続

特長その➀
相続を知った時から3か月以内に、相続人全員が共同で申立しなければなりません(民法915条1項、923条)。
ここが面倒な点の一つ目です。
相続放棄は一人でもできましたが、限定承認は必ず相続人全員でしなければなりません。
1人でも、普通に相続しますという人がいる場合はこの制度は活用できません。

特長その➁
相続人が複数いる場合は、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します(民法936条1項)。
この相続財産管理人は、相続人のために、相続財産の管理や債務の弁済などの行為を行います(民法936条2項)。

特長その➂
限定承認後、5日以内に、すべての相続債権者と受遺者に対して、限定承認をしたこととその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません(民法927条1項)。
また、知っている相続債権者や受遺者には、個別に催告する必要があります(民法927条3項)。

特長その➃
相続財産を売却する必要があるときは、競売に付します(民法932条)。

以上のように、限定承認の手続は非常に面倒かつ複雑です。
利用者が少ないのも納得です。

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