損害賠償請求権と相続
皆さん、こんにちは。
最近は急に暖かくなりましたね。日中は汗ばむほどです。
さて、今日は、損害賠償請求権と相続についてお話しします。
まず、損害賠償請求権とは、交通事故や傷害事件などにより損害を受けた者が取得したり、契約の相手方に契約内容の不履行があり損害を受けた場合などに取得する請求権です。
この損害賠償請求権もひとたび発生すれば、通常の債権と同じく相続されます。
例えば、交通事故の相手方に1000万円の損害賠償請求権を持っていた方が亡くなれば、その相続人はその1000万円の債権をそのまま相続します。
ここで、問題となるのは、交通事故で死亡した被害者の遺族は、被害者が取得した生命侵害に対する損害賠償請求権を相続するのか、ということです。
問題の請求権は2つです。
①財産的損害に関して、逸失利益の損害賠償請求権、②精神的損害に関して、被害者の慰謝料請求権です。
結論から言いますと、①、②ともに相続されます。
①については、重症を負ってから死亡した時と、即死の場合とでの均衡をとることから相続されることになります。
②については、学説上異論があるところですが、判例は紆余曲折を経て、相続するという結論に至りました。
ただし、慰謝料請求権の場合、慰謝料の算定においては裁判官の裁量の余地も大きいので、相続を否定しても肯定しても結果的にはあまり変わらないので、実務上はあまり問題のないところかもしれません。
少しややこしい話かもしれませんが、基本的には相続されますよ、ということです。
では。
行政書士名古屋森法務事務所
代表 行政書士 森 俊樹
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